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「木場のむすび」ーお店づくり編ー

「木場のむすび」のコンセプト編に続いて、
加工直売所を味気のある雰囲気にしていく、お店づくりに取り組みについて。
お話を頂いた時には、既に建物はできてしまっていたので、何を足して効果的に店舗の演出をしていくかを検討。

お米とおむすびが主役の加工直売所

木場のむすびという場が、お母さん達がおむすびを握って賑わいが生まれるイメージを強く持って、
サイン計画、パッケージ、空間、ユニフォームとデザインを考えていきました。
お店づくりがうまく進んだのは、木場みのりの会の皆さんのDIYのスキルが非常に高かったことにあります。
大工仕事から、土木工事と手を動かす作業を手際よくこなされ、
デザインイメージを口頭で伝えて帰ると、次にはこちらの意図を組まれてちゃんと形になっていて、
何度も驚かされました。お百姓さんとはこうあるものなんだなぁと。

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サイン計画

広域農道で交通量が多い立地で道路沿いではあるものの、
入口がその農道に面してなく、迂回して店舗に入らないといけません。
しかも、道より低い場所に店舗があるので、見過ごしてしまう可能性もありました。
そこで、たくさん幟を作成し、道や店舗周りに立て、暖簾を店舗の軒にかけることで、
ドライバーの視界に飛び込むようにしました。
また、店内にも加工所と店舗を隔てる壁には、大きな窓が2面あります。
目隠しと、お店の演出を兼ねて、ここにも暖簾を。
その他、窓ガラスには何の入口か印すために、カッティングシートで案内をしています。
カッティングシートの制作と施工は、KifuLの木本店長によるもの。
また、地元の方からいただいた立派な木の板を、看板にしたいという希望があったので、
ロゴマークではなく「御結」と揮毫して、入口に設置。

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パッケージデザイン

お米が主役の加工直売所なので、米袋のパッケージをオープンに間に合わせました。
デザインに当たって、以下のようなことを考慮しました。
1.木場みのりの会の生産者の方々が複数利用されるもの。
2.1kgから10kgまでサイズバリエーションがある。
3.棚田という手間のかかる場所で作られていること。
4.ほかの道の駅などにも出店されていること。
5.パッケージの印刷費のイニシャルコストを抑えること。
この条件を踏まえて、サイズ展開に合わせて3種類のラベルと、ゴム印を利用すること、
そして、販売価格を上げるご提案しました。

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お店では、各種おむすびに、ちまきや押し寿司と米三昧。
合わせてお惣菜も購入できます。
食のアドバイザーで入られているQ’s worskの小野さんが、
商品のブラッシュアップをされて、包材のご提案も。

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ユニフォーム

店舗でのユニフォームは、お母さんたちのおむすびを結ぶ姿が美しく見えることを第一に考え、
最初は割烹着やシャツなどを考えたものの、働く環境や機能性とランニングコストに配慮して、
ポロシャツとエプロンに手ぬぐいをモノトーンで揃えました。
そして、木場のむすびのスタッフだと一目でわかるように、シルクスクリーンでロゴを印刷。
費用面のことを考えて、これも製版キットを使って自分たちでDIYすることに。
この方が、今後ユニフォームが追加で必要になった時も、簡単に作れます。
嬉しいことに、ポロシャツを買いたいという声も聞こえています。

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空間づくり

店舗空間ディレクションで大切にしたこと、分かりやすい合言葉として、「峠の茶屋」と言っていましたが、
もっとイメージが簡単で、空間づくりを皆さんで今後維持できるように、
「簡素」であること、そしてお百姓さんの納屋にいるような佇まいであることを伝えていきました。
つまり、他の要素で飾ったりすることをしないというルールでもあります。
また、味気ある空間をいかに演出するかをコスト面も含め考え、
ペイントと和紙を使った演出を軸に行いました。
ここで力を借りたのは、KifuLの木本店長と、紙漉思考室の前田夫妻です。

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塗料は、嫌な匂いが全くなく、マットで色に奥行きがあり、光の具合で変化するF&Bを選び、
ペイントサポートをお願いしました。カッティングシートの施工に合わせて、
暑い中ご尽力いただいた木本さんに感謝です。

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メインの壁に貼る和紙は、土壁のようにしたくて、稲藁を漉き込んだものを壁紙用にオリジナルで制作。
継ぎ目はちぎった紙を、ランダムに貼り重ねることで気にならなくなり
狙い通り(それ以上)の土壁が現れました。試作を何度も行い藁紙を仕上げてくれた前田さん、助手の千陽さんに感謝。
蛍光灯の目隠しとして、和紙と竹を使って雲を見立てたランプシェード制作。
ミエルかみ」という展覧会に出展した作品を展開したものです。

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什器制作は、店長村上さんによるものです。以前お蕎麦屋さんをされていたり、陶芸家の一面を持つ
多彩で丁寧な仕事に、たくさん救われました。

これから子育ての始まり

2018年7月22日に、無事木場に新しく生まれた赤ちゃん(ブランド)をお披露目することができました。
商品開発や店舗開店は、作るまでに大きな山があります。
頂上に立ちその見晴らしの良さに、みんなで喜びを分かち合います。これは得難い経験です。
ただ、これからが本番で、もっと大きく長い道のりの山が続いています。
谷もたくさんあると思いますが、乗り越え赤ん坊を立派に育て、
お米の価値を最大化する加工直売所となり、ご縁を結んでいただけたらと心から願います。

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最新情報を知りたい方は、木場のむすびfacebookページへ

「木場のむすび」ーコンセプト編ーも、ご覧ください。

credits
プロデュース:佐藤直之(株式会社ルーツ・アンド・パートナーズ)
フードディレクション:小野聖史( Q's works)
クリエイティブディレクション・デザイン表現一式:前崎成一(アオバト)
ペイントサポート:木本大介(KifuL)
和紙制作・施工:前田崇治・千陽(紙漉思考室)