この言葉は、イングデザイン研究所の長勝也さんが作られたものです。
長さんとの出会いは今でも鮮明に覚えています。
勤めていたデザイン事務所で落ちこぼれて辞め、迷える根暗な20代半ば、
カレーの名店ヌワラエリヤで、目に止まった「企業の暖簾づくり」という一冊の本を読んでいると、
突然、女性の方(長さんの右腕の住本さん)から声をかけられて、「実はその本を書いた著者がそこにいます」と。
もう少し詳しく説明すると、その日は音楽会がヌワラエリアで開かていて、
待ち時間にその本を手にしたという事の成り行きでしたが、
長さんのことは、その前からプロデューサーの江副さんから聞いていて、
仕事の取り組みに対して非常に興味を持っていたので、この偶然の幸運に出会った興奮で、
その後の音楽が耳に入ってきませんでした。
長さんの取り組み方は画期的で、企業の顧問役として企業理念から社内の意識改革、
商品開発・広報戦略・社屋や店舗づくりなどのプロデュース業と、そこから派生するデザイン業務を全て行われ、
毎月の定例会議を行いながら、企業の暖簾づくり(ブランディング)をされていました。
月々のコンサルティング料とデザイン業務が発生した都度、デザイン料金請求する仕組みを、
1978年(40年前!)からされていたというのも驚きです。
イングデザイン研究所へは、デザインの道に迷うと訪ね沢山のお話を伺いました。
長さんは惜しげも無く手法や実例を披露され、
しまいにはデザイン料金や契約書の作り方まで教えてくださいました。
長さんにブランディング論を仰ぐという、贅沢で貴重な個別レッスンを受けて今があるのですが、
その感謝の気持ちを本人に伝えることは、もうできません。
遺された「企業の暖簾づくり」を自分なりに実践することで、一方通行ですが会話を続けています。
暖簾とは単なる目印ではなく、心の表れです。
表層から深層まで、相談者の良き理解者となって心(芯)を表していきたいと思います。