過去に一度だけ、デザイン事務所で勤めたことがあります。
大学を卒業してから1年弱と短いようで、長いような修行の日々でした。
福岡大学の商学部卒なので、パソコンの使い方もデザインのデの字も知らずに、
縁あって入れた春高デザインは、市内の商業施設の年間広告を手がけたり、
国内外の賞もたくさん獲られるような、いわゆる花形のデザイン事務所。
そんなこととはつゆ知らず、運よく入れて喜んでいたのも束の間。。。
お洒落で華やかな世界だと思ってドアを開いた先に待っていたのは、なんと魁!男塾な世界。
描く夢だけ大きくて、雑草根性もない軟弱者の坊ちゃんは、
コテンパンに叩きのめされ、泣きべそかいて速攻ギブアップ。
名刺の肩書きに「世界を目指すデザイナー」と付けられたくせに、ギブアップです。
ボスの春高さんからも夢からも一目散に逃げたのに、
ブランクを経て、不思議なことにデザインを続けられています。
先日、随分久しぶりに春高さんに会いに伺ったところ、なんと自宅で手料理をご馳走に。
美味しい食事と共に沢山のダメ出しも頂きながら、デザイン談義に花が咲き
愉しくしっかり酔っ払いました。まさかこんな未来が待っているとは。。。
手作りのパンやスープ、野菜炒めに、春高さんデザインのごま焼酎。
採用試験でのお題は、「Tシャツ展を開くとした時にポスターを考える」といったもの。
このラフスケッチが扉を開きました。
「下半身も日焼けした方が面白いんじゃない?」と春高さんが書き足され、
その手があったかと脱帽。
落ちこぼれながらも任された、商業施設イムズのポスター。
電車の中で、制作したポスターを眺めていた感情があまり思い出せません。
とにかく目の前のことに追われ過ぎて、色んな感覚がマヒしていたんでしょう、きっと(笑)。
振り返って見ると、とても良い経験ができていますねぇ。
落ちこぼれにこぼれた20代があったから今があるし、
あの時には絶対戻りたくないけれど(笑)、厳しい世界を知ったから今がある。
また春高さんと美味しいお酒が飲めるように、これからもデザインを頑張ろうと思います。